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【メディア掲載】ビル新聞1面・2面にてCQI(グローバル採用適性検査)が特集されました

ビルメンテナンス業界向けの業界紙ビル新聞の1面・2面にて、当社のCQI(グローバル採用適性検査)が特集されましたので、お知らせいたします。

「外国人材の採用では文化的なモノサシの違いに着目」という題目で、ビルクリーニング外国人材受入支援センターとの提携や、CQIについて特集頂きました。詳しくは本文をご覧ください。

「外国人材の採用では文化的なモノサシの違いに着目」
 外国人向け適性検査を開発したエイムソウル・稲垣社長に聞く
外国人材受入支援センターと提携

人口減が続く日本の社会は、今や外国からの人材抜きでは語れない。様々な職場で働く外国人材は昨年10月時点で165万人を超えているが、人手不足の状況はビルメンテナンス業界も例外ではない。(一財)建築物管理訓練センターでは一昨年11月に「外国人材受入支援センター」を開設したが、このたび人材開発会社のエイムソウル(本社・東京都品川区)と業務提携を締結した。そのエイムソウルの稲垣隆司社長に、同社が開発した外国人向け適性検査『CQI』を中心に話を聞いた。

今回、外国人材受入支援センターと提携をすることになったのはビルメンテナンス協会の理事の方に「外国人材の採用には適材適所が必要」という話をさせていただいたことがきっかけだった。新型コロナ禍のために物事が止まっていたことも幸いし、我々の話をじっくりと聞いていただけた。
私は2005年にエイムソウルという会社を創ったが、日系企業の課題解決をするために2014年にインドネシアに移住した。現在は日本とインドネシアの二拠点生活を送る。日系企業にとって課題となっていたのは採用したインドネシア人がなかなか時間を守らないということだった。ところが調査をしたところ、日本人が低いと思っていたインドネシア人の時間管理能力を、当のインドネシア人自身は高いと感じていることが分かった。つまり、日本人が低いと感じていた能力を、彼らは高いと思っていたのだ。これはもうモノサシが違う、暗黙知(経験的に使っている知識だが簡単に言葉で説明できない知識のこと)が違うということだ。
また、他の国々も対象に加えて行った「1ヵ月に遅刻を許せる回数」の調査では、インドでは4回、韓国では3回まで遅刻が許される風土であることが分かったが、日本では0回でも普通でせいぜい1回が限度、2回だと失格とみなされる。これが、我々日本人が外国人は時間を守らないと感じる所以の一つだが、その一方で私はベトナム人から「日本人は時間を守らない」と言われたことがある。
怪訝に思った私がその理由を尋ねると「日本人は、朝は時間通り来るけど、夜は時間通り帰らないではないか」という。言われてみると、確かに我々には始業時刻にはうるさいが、帰宅時間は緩いという文化がある。
日本には間接的な表現が得意な文化があるが、この文化が直接的な表現を好む外国人には凄いストレスとなる。日本は業務志向が強く結果よりプロセスが重視される傾向がある。計画が重視され、集団主義的なところも日本人の特徴で、多くの日本人は感じていないが、日本は外国人からすれば「特殊な国」なのだ。
外国人は異文化に溶け込むとカルチャーショックを早い時期に経験する。そしてドンと落ち込んだ後で回復に向かうU字曲線を描く。そのカルチャーショックから抜け出せなかった人は、そのまま会社や仕事をやめてしまったり帰国したりする。外国人を採用しても定着しないという会社は多いが、それは面接で日本語力や理解力、色々な人と働ける協調性などは見ているのだが、もう一つの大事な要素であるCQ(カルチャラル・インテリジェンス・クオティエント)と呼ばれる「異文化に適応する知能指数」までは判断材料にしていないからだ。
CQはモチベーション(日本で働く意欲)、知識(日本文化を理解し知識化する)、行動(カルチャーショックを受けて自分の行動や考え方を変える能力)、メタ認知(異文化環境の中で自分を客観的に捉える力)の4つの要素で構成される。このCQが高ければ前述のU字曲線の回復するスピードが早まる。そして外国人と自分の会社、あるいは部署とでカルチャーが合うかどうかを見極めることが大切となる。
適性検査は様々なものがあるが、日系企業に働く外国人に特化した試験は世界で我々が開発したCQIだけ。CQIの検査は55問で、主に❶カルチャーフィット度と❷異文化適応力をそれぞれ100点満点で評価、活躍が期待できる人材であるかどうかの総合評価はAからFまでの6段階で評価する。❶と❷の他にも❸文化特性❹行動特性❺性格特性❻異文化への敬意❼日本・日系企業で働く目的意識❽異文化適応行動も調べることが可能で、検査結果はレポート1枚で構成し、グラフや点数を用いて分かりやすく示される。また、日本語・英語・中国語・韓国語・インドネシア語・ベトナム語・ミャンマー語の7言語に対応もしている。

外国人材のマネジメントに必要なことはモノサシ・理由・メリット

ビルクリーニングは国家試験もあり、日本の誇りである清潔さを支えている歴史のある業界であるとは思うが、「この通りにやりなさい」と型にあてはめてしまうと外国人は息苦しさを感じて、結果的に能力を発揮できないことにもつながりかねない。そのため受け入れる日本人の側も変わる必要がある。だから現在、外国人を受け入れる力を診断するツールや、受け入れ力を伸ばすトレーニングの開発を行っている。アジアの他の国々の人々は風通しの良いフラット型の組織を好むのに対し、日本人は上意下達のピラミッド型組織を好む。そういう意味で、同じアジアの国といってもギャップがある。
特にインドネシアは相当フラット型の組織を好む。日本人は公私を区別したがるが、インドネシア人は公私合体。そのためインドネシア人は、日本の企業に対して時には「冷たい」という印象を持つ。こちらとしては冷たく接した覚えはないのだが、ビジネスライクの接し方が彼らには冷たく映るようだ。ただ、こうした傾向はインドネシア人全員がそうというわけではなく、最終的には面接する人の特性を見極めることが重要となる。
私は厚生労働省の特定技能の検討委員会に入っていてビルクリーニング業界に特定技能を浸透させる議論をしているが、この業界の特徴としては正社員とパート・アルバイトの比率が1対9であること、早朝とか夜の時間帯にスポット的に行う仕事であることなどが挙げられる。
その日本人パートやアルバイトの方々を採用するのは年々難しくなっている。よって、彼ら彼女らのスポット的に行っている仕事を技能実習生や特定技能の外国人材で補おうというのが特定技能の狙いだが、人件費やシフト管理の問題などで簡単なことではない。人手不足を一つの企業の問題と捉えるのではなく業界として独自の人材活用のスタンダードを確立する必要があるのではないか。一つひとつの会社は小さな企業が多いかもしれないが、人口減社会の日本でもビルクリーニングは絶対になくなってはいけない仕事だと思うので業界を一つの会社という捉え方をしたら凄く大きな人材採用となる。その仕組みを会社ごとではなく、ビルメンテナンス業界として作り上げていくことが重要ではないかと思う。
全国には3万社くらいビルメン会社があり、事業規模は4~5兆円といわれており、業界全体としては決して小さくない。だが、もし外国人材の採用において雇用側に「雇ってやっている」という意識があったとしたら人材不足は絶対解消しないし、グローバルな人材競争で勝てるわけがない。最近は日本人の側からも「我々の側にも問題はある」という声が増えてきている。だから前述の通り、外国人を受け入れる力を診断するツールや、受け入れ力を伸ばすトレーニングの開発にも着手しているのだ。
外国人材の採用というと最初はハードルが高いように感じられるかもしれないが、1回採用して「やれる」と手応えをつかむと8割の企業がリピートする。たとえばコンビニ業界を見ても最近は外国人の従業員ばかりで日本人で働いている人を見つける方が難しい。ただ、10年前に誰もこのような景色を予想できた人はいなかったはずだ。だから、5年、10年後にはこの業界も外国人従事者が当たり前の時代になっているかもしれない。
ビルメンの経営者の中には「外国人には細かいところまで伝わりにくい」ということで採用を敬遠する向きもあると聞くが、100%ではなくても動画や漫画などを駆使すれば70%以上は伝わる。そこまで伝われば100%近くまで持っていくのは不可能ではない。つまり外国人を雇用する側には、それくらいの努力と工夫が必要であるということだ。
いずれにせよ、物事は一定のモノサシで明確にすることが重要だ。つまり、それをどの程度やればいいのか、なぜそれをやるのか、やったらどんなメリットがあるのかを具体的に示さなければいけない。たとえば日本では男子トイレも女性の清掃員が掃除をするのが一般的だが、これも外国とは大きく事情が異なる。それを外国人に説明する時に「昔からの日本のしきたりだから」と言うのではなく、モノサシを明確にして、それを行う理由やメリットを伝えるべきだと思う。そこで合意して納得できれば人は動かしやすい。我々には男子トイレの清掃は女性がやるべきだという暗黙知があるが、外国人には分からない。この形式知化することを日本の企業はやるべきだと私は思っている。
日本はクリティカル・シンキング、つまり批判的思考が極めて弱い。「何故これをやっているのか?」を考える力が弱いのだ。その一方で暗黙知が強いので一から十まで説明しなくても伝わる部分がある。しかし、文化の違う人たちには暗黙知を言葉に落として伝える必要がある。
外国人を採用する場合は、とにかく文化という観点に着目して、それを感覚ではなく、しっかりと定量的に判断することが大切だ。そうすることによってうまくいかなかった時の課題も分かるし、うまくいった時の成功パターンも再現できるので結果的に採用コストを抑えられる。だから大袈裟な言い方だが、数年後には、科学的に採用していなかったことが信じられないような世界観を創出したい。
ビルクリーニングは日本の誇れる優れた文化。それだけに外国人の方には、この「きれいにする」という文化を自国に持ち帰ってほしい。CQIは採用時だけでなく、配属先(現場)を決める判断材料や教育プラン設計の材料、活躍または離職時の分析材料としても活用できる。ビルメンテナンス業界の皆様方には今回の業務提携を機に、是非とも積極的な活用をお願いしたい。

出典:「ビル新聞」2020年(令和2年)11月23日号

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