COLUMN
皆さんこんにちは、一橋大学名誉教授、法政大学大学院教授の米倉誠一郎です。残念ながら去年ですね、日本の出生人口は70万人を切りました。年間亡くなっていく方がもう120万人と。日本は急速の勢いでマーケットを小さくしています。こうなってくると、やっぱり世界に出て、世界の大きな市場で戦う、世界に日本のいいものを持っていくっていうことが本当に至上命題になってきました。その時に現地に送る人たち、その人選はものすごく大事です。なぜかって言うと、今までは技術があるから教えてやる、でもこれからは一緒に物事を作っていく、さらに言えば一緒に現地の問題あるいは社会課題を解決していく、そういうようなビジネスが求められている訳です。
そうなると英語ができるとか現地語ができるだけではなくて、文化に対する深い理解、まさに心をつかむような人材を送らなければならないです。そのためにはやっぱりその人がどれぐらい文化的な許容度が高いか、これものすごく大事ですよね。「いや俺は大丈夫だよ、胸襟開いて一杯やれば!」、でもこの一杯すらやらないイスラム国っていうのもあるんですよね。そうするとそういう中で、本当のコミュニケーションというのはどういうものなのか、やっぱり事前に学んでいく、事前に理解しておく、あるいはそれに適応した人材を選んでいく。
世界はですね、もはやスピードの競争なんですね。日本だけでは2カ月かかる、いや1カ月でやらなければいけない、そういうような局面に立っています。僕の好きなアフリカのことわざで『早く行きたいなら一人で行け』という言葉があります。ただ『遠くまで行きたいならみんなで行け』なんです。
今これから2050年、世界の人口は100億に達します。その時日本は確実に1億を切って8000 万人ぐらいの人口になっています。その時に世界の人たちと一緒に、あぁ日本があって良かったなと思われるような国際的な協力をする、国際的なビジネスを展開する。実はそういうことを引っ張っていけるリーダーが望まれているんです。そのためには、CQIのいいところはですね、その人の特性あるいはそこの文化圏の特性をきちっと見える化して、自分には何が足りないのか、自分は何を足していくのか、こういうところにはどういうようなカルチャラルアダプテーション、文化適合が必要なのか、そういうことを見える化してくれるというツールができたんですね。そういう意味ではこれから21世紀、AIも大事です。でもこのカルチャラルな理解、これは必須アイテムになるのではないでしょうか。