COLUMN

2020.01.06

外国人採用を始める前に、人事担当者が考えるべきポイント

採用

厚生労働省の調査によると2019年10月末時点の外国人労働者は約146万人にものぼり、前年比14.2%の増加となりました。さらに政府は2025年までに約50万人の外国人労働者の増加を見込んでいます。2020年の東京オリンピックも目前に控え、これから外国人採用を始める企業がますます増加することが予想されます。そこで今回は、外国人採用を始める前に人事担当者が考えておくべきポイントについてご紹介します。

外国人を採用した際に起こりやすいトラブルと要因

外国人採用において、言語の壁があることは言うまでもありませんが、言語が通じるか通じないかということ以上にトラブルの原因になりやすいのは、文化や習慣、価値観の違いから生じる認識のズレによるものです。「外国人労働者にあなたの指示は全然伝わっていない?でも述べた通り、日本は世界各国の中でも特にハイコンテクスト文化であるため、外国人からすると「日本人は仕事の指示が曖昧だったり、物事を言葉にして直接的に言わない」と感じることが少なくないといわれています。

例えば、「早めに、この窓をちゃんと拭いておいて」と指示を出したとします。その指示を受けたのが日本人であれば、多くの場合、

 ・お客様から見えやすい場所だから汚れていたら見栄えが悪い。

 ・お店のオープン前にやっておいた方が良い。

 ・窓の隅々まで拭き跡や汚れがなくなるまでピカピカにしておくと良い。

などということを瞬時に察知して対応するでしょう。しかし、文化や習慣が異なる外国人はどうかというと、「早めに」という表現を「今週中に」と認識するかもしれませんし、濡れた雑巾で拭き跡が残ったまま仕事を終えてしまうかもしれません。

このように明文化されていない指示やルールを、文化や習慣の異なる外国人が曖昧な表現から汲み取ることは非常に困難であるため、判断基準や認識が異なることを理解せずに当たり前のルールだとして業務を押し付けてしまうと、当然、彼らは違和感を感じ反発が起きてしまうのです。

その結果、日本人側は「言ったことをちゃんとやってくれない」と感じ、外国人側は「具体的な指示がなかったのに責められる」と、お互いに不満を募らせることになるのです。

さらに、こういった認識ズレを解消しないまま不満が蓄積されると、コミュニケーションのズレから外国人労働者の定着は望めなくなってしまいます。その結果、「外国人はすぐにやめてしまう」というイメージが定着し、外国人採用自体が失敗に終わるなどという負のスパイラルに陥ってしまいます。

こういった例は、外国人採用をした多くの企業で実際に起きているトラブルですが、その原因は外国人採用の目的や採用基準が不明確であることや、それに伴った受け入れ体制の未整備から生じるているのではないかと考えられます。

外国人労働者の採用基準を設定する

外国人採用に限らず採用活動において重要なポイントである「採用基準」については、まず社内で明確にしておく必要があるでしょう。

人材採用は、基本的に何らかの理由による人材確保の手段ではあるものの、中途採用と新卒採用では目的や採用基準が異なり、それぞれに基準を設定するはずです。それと同じように、外国人採用には外国人採用における目的や採用基準をもつはずです。

それと同じように、例えば

・組織内の人材を多様化させ、日本人同士では生まれないような新しい発想が生まれることにより、新規事業を推進したい。

・外国人目線で非合理的な部分を発掘してもらい、組織や業務を合理化したい

など外国人採用には外国人採用におけるメリットを生かした目的や採用基準をもつはずです。

しかし、目的や採用基準を設定せず、ただ人材を確保するために外国人労働者“でも良い”から採用したいというような考えで外国人採用を開始してしまうと、思わぬトラブルや問題に戸惑うことになりかねません。

なぜなら、外国人と一緒に働くということにおいて、日本人や日本企業にとっては課題が多く残されているからです。日本の価値観を持った外国人材は採用できるのかでも述べたとおり、世界各国から見ても日本は特殊な文化をもつ国です。私たち日本人がいくら外国人を快く受け入れたとしても、外国人からすると我々日本の文化や習慣は、決して安易に馴染めるものではありません。

そのため、外国人採用を開始する際の「目的や採用基準の設定」については、日本人の採用以上に重要であることを認識しておく必要があるでしょう。

外国人が入社した際の、現場の受け入れとフォロー体制

外国人採用における採用基準が明確になると、次に入社した際の受け入れ体制についても検討しておかなければなりません。

日本人の採用でも同様ですが、採用担当と現場の教育担当が異なる場合が多く、社内で意識のズレが生じてしまうケースは少なくありません。

いくら会社や人事が外国人採用を積極的に進めても、実際に共に働くチームメンバーとの温度差が大きければ大きいほど、外国人の受け入れは困難になり、冒頭で述べたようなトラブルが起こりやすくなります。

そのため、外国人採用を始める際には、新しく入社する外国人への教育はもとより、受け入れる側の現場スタッフの教育も非常に大切になるのです。

おそらく中途採用や新卒採用でも、入社後の研修制度が設けられていることが多いと思いますが、採用に向けた既存メンバーへの研修が実施されている企業はあまり多くはないでしょう。しかし、外国人採用の場合は、現場スタッフがどの程度の温度感で彼らを迎え入れるか、異文化コミュニケーションにおいてどの程度の理解を示せているかによって外国人のパフォーマンスが大きく左右されてしまうため、現場スタッフが異文化コミュニケーションについて知識を高めることは、採用活動のプロセスとして非常に重要であると言えるのです。

私たち日本人が考えているほど、日本はグローバル社会にスムーズに受け入れられる文化ではありません。それを認識した上で、受け入れ側の日本人スタッフの意識を高めることが、自社の外国人採用の成功やグローバル化への近道になるのではないでしょうか。

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