COLUMN

2020.01.06

外国人労働者にあなたの指示は全然伝わっていない?

2.組織形成

外国人労働者を採用する企業が増えると同時に、外国人労働者の上司や教育係を初めて経験する人も増えています。しかしその中には、「自分の指示した通りに仕事をしてくれない」と、外国人労働者のパフォーマンスに不満を抱えている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、なぜ外国人労働者はあなたの指示通りに仕事をしてくれないのか?を日本人と外国人労働者の間に立ちはだかる壁「コンテクストの違い」という側面から解説していきます。

ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化

「コンテクスト」とは、日本語に訳すと「文脈」ですが、ここでいう「コンテクスト」とはコミュニケーションの基盤となる文化、習慣、知識、価値観や嗜好性などを意味します。

ハイコンテクスト文化とは、伝えたいことを全て言語にしなくてもお互いが察し合い「なんとなく」わかりあえる環境のことで、いわゆる「ツーカー」や「阿吽の呼吸」というような感覚的なコミュニケーションが成立する文化です。日本人は、世界各国の中でも特に、ハイコンテクスト文化であると言われています。

一方ローコンテクスト文化とは、基本的に言語によるコミュニケーションを重視し、曖昧な表現では伝わらない環境や社会のことを言います。「だいたいわかるよね」という、日本では抵抗のない感覚的なコミュニケーションとは真逆で、具体的に言葉にして相手に伝えることを重視し、受け取り側も相手が意図することを感覚で判断せず、言語で理解する文化のことを指します。

日本人はコミュニケーション能力が低いと評価されてしまう理由

上表の通り、日本は世界の主要各国の中でも特にハイコンテクスト文化の人種ですが、この場合、共有した時間や体験などに依存しがちなコミュニケーションでもあるため、例えば「同じ釜の飯を食べた仲間であれば、多くの言葉を交わさなくても感覚的に理解し合える」という環境が成立することも少なくありません。しかし、裏を返せば「同じ釜の飯を食べた仲間」でなければ、一変してコミュニケーションをとることが困難になるというような状況に陥ってしまいがちです。残念ながら日本人は、このように感覚的な表現を好むため、言語による直接的な表現が非常に苦手な傾向にあるのです。

一方でグローバル社会に目を向けてみると、当然ながら「同じ釜の飯を食べた仲間ではない」相手とのコミュニケーションが主になるため、ハイコンテクスト文化ではスムーズなコミュニケーションが困難になり、ローコンテクスト文化が求められます。

しかしハイコンテクスト文化である日本人は、世界各国の人と比べると「具体的に言語で伝える」スキルや能力が低く、精一杯相手に物事を伝えようとしていても「重要なことをはっきり言葉にして伝えてくれない。曖昧な表現でごまかす。コミュニケーション能力が低い。」と評価されてしまいがちなのです。

どうすれば、外国人に指示通りに仕事をしてもらえるのか

外国人労働者と仕事をする日本人の中には、彼らに指示や依頼をした仕事がその通りに達成されないという経験をした人も少なくないのでしょうか。

それは、前述の通りハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違いが大きな要因の一つだと考えられます。

それでは、彼らにどのように伝えれば、指示した通りの仕事が達成されるのでしょうか。

一つ例を挙げると、日本人は「きちんと」「しっかり」「なるべく早く」などという表現方法を頻繁に使用しますが、それをローコンテクスト文化のアメリカ人に使った場合、どういう状態を指すのかを理解していないことがほとんどです。

日本人同士であれば、上司から「来週の会議で使う資料を、なるべく早めにきちんと整えておいて」というような表現で指示されることは珍しくないでしょう。おそらくその指示を受けた直属の部下は、「来週の月例会議の2〜3日前までには、今月分の営業結果報告をまとめて、先月の資料と同じ様式で参加人数分の部数をプリントアウトをしてホチキス止めをしておくということ」だと察知して、準備を進めるでしょう。

しかし、例えばローコンテクスト文化であるアメリカ人の場合には、曖昧な表現を避け、具体的な行動や時間はもちろん、なぜそれをする必要があるのか、それをやることでどういう結果をもたらすのかまでをきちんと伝える必要があります。日本人は、そこまで伝えなければわからないのかと面倒に感じるかもしれませんが、決してローコンテクストに慣れている外国人労働者は意地悪を言っているわけでも、反発しているわけでもありません。

彼らからすると、「なるべく早め」の定義や「きちんと」の定義が非常に曖昧であり、捉え方次第ではトラブルの原因になりかねない表現だという認識になるわけです。

つまり、日本人は特にビジネスの場面において、価値観の違いはもとより、グローバル社会では感覚的なコミュニケーションは通用しないということを理解して、言語化されたコミュニケーションを心がけることで外国人に伝わる仕事の指示ができるようになるのではないでしょうか。

外国人に、指示通りに仕事をしてもらうためのポイント

前述の通り、特にローコンテクスト文化の外国人労働者に対しては、具体的な表現で仕事の指示をすることが重要になります。

1.モノサシ

  具体的な質、頻度や期限、行動

2.目的

  なぜそれをやるのか

3.メリット

  それをやることでもたらす結果

上記の通り、3つのポイントを論理的に整理して説明することで、相手に誤解なく理解してもらうことができます。もしも、これまで曖昧な表現によって意図したことが相手に伝わらず、指示通りに仕事をしてもらえないという経験をしたことがある場合は、改めてこのように具体的で論理的な表現方法を身に付けることを意識してみてはいかがでしょうか。

 

日本でもグローバル化が進みつつありますが、前述の通りグローバル社会では言語化されたコミュニケーションが重視されます。つまり、グローバル化が進むということはローコンテクスト化が進むということでもあります。また、国内でもビジネスの場面では「誤解を生まないような具体的に表現する」ことが当たり前になりつつあります。

今後、多くの日本企業がダイバーシティ&インクルージョンを目指していくためには、日本人はハイコンテクスト文化であることを理解すると共に、言語化することを意識して現場の外国人労働者とのコミュニケーションを図ることが重要だと言えるのです。

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