COLUMN

外国人を雇用するメリットと雇用時の注意点とは

1.外国人採用

少子高齢化問題もさることながら、有効求人倍率が1.00ポイントを超えた2014年以降、日本の採用市場は「売り手市場」と言われるようになり、企業は新卒・中途採用問わず人材確保が厳しい状況が続いています。最近は特に政府の取り組みも強化され、外国人採用が注目されるようになりました。しかし、興味はあってもどのようなメリットがあるのか具体的にイメージができず、外国人採用に踏み出せないといった人も少なくないのではないでしょうか。今回は外国人を雇用するメリットと採用時の注意点についてご紹介します。

増え続ける外国人労働者

現在、日本は生産年齢人口(15歳から65歳未満の年齢に該当する人口)が年々低下し、ピークを迎えた1995年の8,716万人と比較して、2010年は8,103万人、2030年は6,773万人と減少傾向にあります。(左下図参照)

一方、厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(平成30年10月末現在)」によると、近年日本で働く外国人労働者は、毎年15〜20%の増加率となっており、2018年は過去採用の140万人を超えました。(右下図参照)

2008年の48.6万人と比較すると3倍以上となっており、人口減少が一つの要因ですが、それに伴い日本企業の外国人労働者のへの関心が高まっていることの裏付けとも言えるのではないでしょうか。

今後、さらに新しい在留資格も創設されることがわかっており、まだまだ外国人労働者が増えることが予想されています。

外国人を雇用するメリット

新卒・中途問わず人材確保が厳しい状況が続く中、はじめて外国人労働者の雇用を検討している企業の中には、外国人を雇用することで会社やチームにどのような影響があるのか、あまり明確なイメージが持てていないという経営者や人事担当者の方もいるかもしれません。

もちろんメリットもあればデメリットもありますが、まずは外国人採用を進めるにあたって具体的にイメージしてみることから始めてみると良いでしょう。

1.優秀な人材が確保しやすい

日本で働きたいと考える外国人の中は、早い段階でグローバルな環境に身を置き、多くの学びを得たいという自身のキャリアに前向きな人材が非常に多く存在します。また、そういった人たちの多くが、勤勉かつチャレンジ精神の高い人材であることは容易に想像できるでしょう。

 

2.若年層人材が確保しやすい

最近では、新卒採用は日本国内に限ったことではありません。一部ではすでに海外人材からの新卒採用活動も活発になっており、日本市場では確保しづらくなってきている若年層人材も、新卒採用から外国人材を視野に入れて採用活動を行うことで確保しやすくなります。

 

3.多言語対応が可能になる

企業によって状況は異なりますが、海外への販路や拠点拡大、事業展開を視野に入れるなどグローバル化を目指す企業にとって多言語対応が可能になることは非常に大きなメリットです。また、外国人観光客や外国人労働者の増加に伴い、日本国内のビジネスシーンにおいても貴重な戦力になるでしょう。

 

4.異なる視点からの発想やアイデアが創出されやすい

世界各国の人材を採用し、彼らの視点や意見を受け入れる環境を作ることで、日本人同士の中ではなかったような新しい視点からのアイデアが生まれたり、異なる視点から現状の改善点を見出すことができたりといったことが期待できます。

 

5.社内環境の活性化に繋がる

外国人材と共に仕事をすることで、新しい価値観や仕事に対する取り組み方を学べたり、これまで意識しなかったコミュニケーションについて改めて考えるきっかけになったりと日本人にとっても多くの刺激が得られます。このように多様な価値観をもつ外国人を雇用することで社内の活性化に繋がるということも一つの大きなメリットと言えるでしょう。

 

6.日本人も働きやすい組織に改革しやすくなる

社内が活性化することで、既存の日本人社員も働きやすい組織へ改革ができるということも十分に考えられるでしょう。

文化や慣習が異なる多様な人材を採用することで、上述のように異なる視点からの発想やアイデアを創出することや、それに伴って自社の改善点を見出すことも可能になるだけでなく、例えば「仕事が終わっていてもみんなが残っていると帰り辛い」というような外国人が感じる日本の組織や働き方に対する不満を解消することで、日本人が主張できなかった不満を解消することに繋がる可能性もあります。

それらができるようになることで、外国人が働きやすい環境を創出すると同時に、日本人にとっても働きやすい組織へ改革できるでしょう。

外国人を雇用する際の注意点

上記のように外国人を雇用することのメリットは多くありますが、雇用にあたっての注意点についても知っておく必要があります。

1.就労ビザを確認する

すでに日本で生活をしている外国人を雇用する場合は、その人がもつ就労ビザ(在留資格)と雇用後の職種や職務内容とに相違がないかを確認し、万一実際の職種と就労ビザの内容が異なる場合はビザの変更手続きが必要となります。

また、海外在住の外国人が自社への入社をきっかけに日本に生活拠点を移して就労するという場合は、雇用後の職種や職務内容に合った就労ビザを取得してもらうことが先決になりますが、採用にあたっては彼らの職歴や学歴などを正しく把握し、雇用後の職種や職務内容に合った人材か否かをしっかりと見極めることが重要な要素になるでしょう。

いずれの場合も異なる在留資格で就労することは違法となりますので、雇用契約を締結する前にしっかり確認しておくことが必要不可欠です。

 

2.価値観や文化の違いについて理解を深める

外国人を雇用するにあたっては、人によってはもちろんですが国や宗教によっても価値観や文化が大きく異なると言うことを十分に理解しておく必要があります。

日本人と同じような採用基準、採用後のフォロー、現場の受け入れ体制のままでは、思わぬトラブルに繋がる可能性が高まるばかりか、外国人を雇用するメリットを発揮させることはできないでしょう。

そのため、外国人の雇用にあたっては第一に外国人の文化や慣習についても知識を深めておくことが非常に重要です。

 

3.受け入れ体制の整備をする

外国人労働者が日本文化や慣習に適応していくことも大切ですが、日本の文化や慣習は世界各国と比べても特殊な国であることがわかっています(別記事:日本の価値観を持った外国人材は採用できるのか)。

そのため、日本人の常識はグローバル社会では通用しづらいことを理解した上で受け入れ側がどのように外国人材と向き合うべきなのかを、人事担当者だけではなく現場責任者やチームメンバーとも情報共有をしながら整備していく必要があるでしょう。

雇用する外国人材の雇用はもちろん、既存の日本人社員の教育プログラムを構築するなど受け入れ側の体制を整備することは、外国人材を雇用することのメリットを発揮させるための大切な要素です。

 

このように、外国人を雇用することでのメリットは多くあります。そのメリットを受けるために必要な手続きもいくつかありますが、どのようなポジションに外国人材を雇用すれば自社に良い影響を及ぼすのか、自社の現状を鑑みた上で新たな成長戦略の一つとして外国人の雇用を検討してみてはいかがでしょうか。

外国人向け適性検査『CQI』はこちら

Pocket