COLUMN

2021.12.12

インクルージョンに必要な要素、ユニークネス・ビロンギングとは

3.ダイバシティ&インクルージョン

D&Iにおけるユニークネスとビロンギングとは

「人材の多様性を活かして企業価値を高めていく」ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みにおいて、インクルージョンの重要性はさらに増しています。

そもそもインクルージョン(inclusion)とは、日本語訳をすると「包括、包摂」といった意味合いになります。一方で、インクルージョンの反対語はエクスクルージョン(exclusion)であり、「排除、隔離」といった意味を示します。したがって、「インクルージョン」とは、「排除しないこと」「仲間はずれにしないこと」と捉えていただくと良いでしょう。

そんななか、インクルージョンを成り立たせる要因として、ユニークネス(独自性)とビロンギング(帰属意識)が注目されています。ユニークネスは、「他の人とは異なる独自の能力」を意味し、D&Iにおいては、企業がビジネスの成果と結びつけようとしている、人材の「多様性」、つまり他者との違いを指します。ビロンギングは、「集団に属している意識」を意味し、ビジネスにおいては「企業やチームの一員であるという意識」を指します。

インクルージョンはユニークネスとビロンギングのバランスがとれてはじめては達成されます。ビロンギングを重視しすぎると、過度に構造化された環境が生まれ、イノベーションが阻害される可能性があります。一方、ユニークネスを重視しすぎると、不十分な規律や統一された目標に苦しむ可能性が高くなり、革新的なアイデアを実際に実行できない可能性があります。つまり、期待される生産性、保持、およびパフォーマンスを生み出すことができなくなってしまいます。

ユニークネスとビロンギングのメリット

【ユニークネスのメリット】

組織の一人ひとりがもつ多様性を活かした独自性、異なる多様性をもつ者同士の相乗効果によって生まれた独自性は、企業の強みとなります。その強みが活かされたサービスや商品は、消費者からなんとなく、仕方なく選ばれるのではなく、その強みがあるから選ぶという消費者の積極的な選択を促進します。ユニークネスなくしてダイバーシティ&インクルージョンはなしえません。ユニークネスはダイバーシティ&インクルージョンの源となる企業の強みを生み出します。

【ビロンギングのメリット】

ビロンギングは多くのメリットを企業にもたらします。ビロンギングが高い社員は積極的に仕事に取り組み、意欲的です。そのため、離職率は低下し、定着率が上昇します。ある調査では、ビロンギングを感じている社員は、職務におけるパフォーマンスが 56% 向上し、病気による欠勤日数は 75% 減少しています。また、従業員が強いビロンギングを抱くと、それが企業の競争力の源泉になります。ビロンギングが高い従業員は、低い従業員よりエンゲージメントとロイヤルティが高く、その会社を働きやすい職場として宣伝してくれる可能性も高いことがわかっています。

(参照)職場に所属することの価値:https://hbr.org/2019/12/the-value-of-belonging-at-work
(参照)従業員の帰属意識が高い職場をどうすればつくれるか:https://www.dhbr.net/articles/-/7881?page=2

ビロンギングを高める取り組み

企業の価値につながるユニークネスを生み出すためには、従業員一人ひとりが安心して個性を発揮することができると感じられる環境が必要です。それは、ビロンギングを高めることとリンクします。ハーバードビジネスレビューでは、ビロンギングを高める方法を「組織」「上級リーダー」「マネジャー」「一般従業員」の視点から提案しています。

①組織:ロールモデルの提供

従業員はリーダーと一体感を抱ける時、評価、つながり、支援、誇りを感じることができます。自分と同じ属性の人がリーダー層にいることの意味は大きく、リーダー層の多様性を拡大し、すでに達成されている多様性を強調することが大切です。

②上級リーダー:インクルージョンを重んじる

上級リーダーは、インクルージョンを重んじるという自社の価値観を実践するために、多様性のあるチームを築き、社内全体にお手本を示す必要があります。インクルーシブ・リーダーシップの実践や、多様な視点を持つことにより、自分がリーダーとして成長できたという個人的なストーリーを披露することも重要な取り組みです。

③マネジャー:部下の意見に対応し、部下を評価し、部下の能力を引き出す

マネジャーは、その組織の文化の担い手です。部下が質の高い仕事をした時は称賛し、必要に応じて率直なフィードバックを行い、部下の心配事に対応する必要があります。マネジャーのこうした行動は、部下が評価され、支援されていると感じられるようにするうえで、極めて大きな効果があります。

④一般従業員:同僚に敬意を払い、支援し、フィードバックを行う

従業員は、同僚が仕事以外の約束を守る時、同僚からフィードバックを受けた場合に帰属意識が高まるとされています。

(参照)従業員の帰属意識が高い職場をどうすればつくれるか 組織文化を変革し、DE&Iを実現する方法:https://www.dhbr.net/articles/-/7881?page=3)

DEIBに向けて

米国では今、DEIにビロンギングを加えたダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン&ビロンギング(DEIB)が注目されています。つまりそれほどに、ビロンギングの重要性が浸透しているということです。
特定の属性に焦点を当てた活動を行おうとすると、ほかの属性の人たちからは、そのグループを優遇しているように映り、組織に対する不満が溜まる可能性があります。企業は、そうしたことを防ぎ、誰もが公平性を感じユニークネスを存分に発揮することができるように、すべての従業員が帰属意識を持てるような企業文化を築いていかなければなりません。D&I実現のために、日本でもビロンギングに着目した取り組みを積極的に行っていくべきでしょう。

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